75歳の一級建築士が語る、
神社と法人税法、その知られざる関係
私が神社の開発行為申請を市役所に提出しましたら、この神社の納税証明書を提出してくださいといわれました。
私は神社は宗教法人なので、税金は納めなくても良いと思っていました。
法人税は国税なので税務署で聞いてくださいと
言われました。
私は75歳の一級建築士として、これまで多くの建築確認申請や開発行為申請を手がけてきました。先日、ある神社の敷地で開発行為の申請を市役所に提出した際、思いがけないことを指摘されました。「この神社の納税証明書を添付してください」と言われたのです。
私は正直、少し驚きました。神社は宗教法人であり、信仰を目的とする団体ですから、一般の会社のように法人税を納める義務はないと理解していました。ところが、市の担当者は「法人である以上、納税証明書を確認する必要があります」とのこと。念のため税務署に問い合わせるよう案内されました。
宗教法人が税金を納めないというのは、多くの方が漠然と持っている印象かもしれません。実際、法人税法第4条第1項および法人税法施行令第5条には、宗教法人がその「宗教活動に関する収益」については非課税とされています。つまり、参拝や祭祀、祈祷などの本来の宗教活動による収入は課税の対象外です。
しかし、ここで誤解してはならないのは、宗教法人が「すべて非課税」ではないということです。たとえば、神社が駐車場経営や物品販売など、宗教活動とは直接関係のない事業を行っている場合、それは「収益事業」として法人税の課税対象になります。このような区別が、法人税法の中で明確に定められているのです。
つまり、市役所が求めた納税証明書は、「この宗教法人が課税対象となる事業を行っていないことを確認するため」の書類でもあります。実際には、多くの神社は宗教活動以外の収益事業を行っていないため、税務署から「課税なし」と証明書を発行してもらう形になります。
この経験を通じて、私は改めて「法律と信仰の接点」に向き合うことになりました。建築士として神社や寺院の建築に関わる中で、宗教法人の土地利用や建物の扱いは、一般の建築とは少し異なるルールのもとにあります。それは文化や伝統を守るためであり、同時に法の秩序の中で成り立つものです。
信仰の場を守ることは、日本の文化を守ることでもあります。しかしその運営は、法と行政の理解の上に支えられています。私たち建築士が関わる申請業務も、その橋渡しの役割を担うものです。今回の経験を通して、神社と法人税法の「知られざる関係」を一人でも多くの方に知ってもらえればと願っています。

