私は現在七十五歳。若い頃には考えもしなかったが、この年齢になってもなお、新しい挑戦が自分を待ち受けているとは思わなかった。退職してからしばらくは穏やかな日々を過ごしていたが、ある時ふと「まだ社会とつながっていたい」「誰かの役に立ちたい」という思いが強くなり、シルバー人材センターに登録することにした。登録後、私に紹介された仕事は駐車場でのカードマン、つまり車の出入りを案内し、利用者に安全と安心を提供する役割である。
駐車場での仕事 ― 社会との接点
駐車場での勤務は、一日三時間、時給千二百円という条件で始まった。短時間ではあるが、実際にやってみると想像以上にやりがいがある。車の流れをコントロールするのは責任が重い。わずかな合図の遅れが事故につながる可能性もあるからだ。大きな身振りと明確なサインを心がけ、利用者が安心して駐車できるよう努めている。
仕事中、通りすがりの人が「ご苦労さま」と声をかけてくれることもある。その一言が不思議と心に響く。社会から切り離されるのではなく、誰かと関わり、役立っている実感を得られるのは、この年齢になってなお、かけがえのない喜びだと感じる。
学びへの意欲 ― awabotaとの出会い
一方で、ただ働くだけではなく、新しい学びにも挑戦したいと思っていた。そこで出会ったのが awabota という取り組みである。ここでは最新のテクノロジーについて学ぶことができ、特に私が注目したのは「Web5」という概念だった。
世の中はインターネットの登場によって劇的に変わり、私自身もメールやスマートフォンを使いこなすようになったが、次の時代を切り開くのがこの「Web5」だという。Web5は単なる新しい技術ではなく、「分散型のインターネット」「ユーザーが自分のデータをコントロールできる世界」を目指していると説明を受けた。七十五歳の私には難解に思える部分も多いが、根本にある「個人が主体となり、自由で安全な情報のやり取りを行える社会」という理念には強く共感するものがあった。
Webの進化を振り返る
振り返れば、私が社会人として働き始めた頃には、まだインターネットという言葉すら一般的ではなかった。
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Web1.0 の時代は、ただ情報を閲覧するだけの「読むインターネット」だった。
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Web2.0 になるとSNSが普及し、誰もが情報を発信できるようになった。私も孫たちの影響で写真を投稿したり、知人とやりとりをするようになった。
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そして Web3.0 では、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型の仕組みが登場し、中央集権的な大企業に依存しないサービスが提唱され始めた。
その先にあるのが Web5 だという。Web5では、個人が自分のデータを完全に所有し、必要な時にだけ安全に共有できるようになる。つまり、情報が「誰かに管理されるもの」から「自分の手に戻るもの」へと変化するのだ。これは単なる技術革新にとどまらず、社会のあり方そのものを変える可能性を秘めている。
学び続ける理由
なぜ七十五歳の自分がWeb5を学ぼうとするのか、と問われれば、それは「未来を諦めたくないから」と答えるだろう。年齢を重ねると、新しいことに挑戦するのをためらいがちになる。しかし、私にとって学びは生きる力であり、心を若々しく保つ秘訣でもある。
駐車場での仕事は、身体を動かし、人と接し、地域に貢献する場を与えてくれる。一方で、awabotaを通じたWeb5の学びは、知的な挑戦であり、世界の最先端とつながる機会をもたらしてくれる。肉体と頭脳、両面から充実感を得られるのは、非常に恵まれたことだと思う。
シニア世代とデジタル社会
私のようにシニア世代がデジタル社会に関わることは、今後ますます重要になるだろう。高齢者がインターネットを使いこなし、最新技術を理解することは、自分自身の生活を便利にするだけでなく、社会全体にとっても大きな意味を持つ。
例えば、健康管理のデータを自分で管理できるようになれば、医療現場との連携もスムーズになるだろう。また、オンラインでの学びや交流が広がれば、高齢者の孤立を防ぐことにもつながる。Web5の目指す「分散型」「個人主権」という考え方は、シニアが自立して生活する上でも大きな力になるに違いない。
未来への希望
私はこれからもシルバー人材センターでの仕事を続けながら、awabotaを通じて学びを深めていきたい。もちろん、若い人たちのように瞬時に理解することは難しい。何度も繰り返し学び、試し、時には失敗もしながら、少しずつ理解を広げていくつもりだ。
七十五歳にして、私は再び「社会に役立つ存在になりたい」という気持ちを抱いている。駐車場で車を安全に誘導することも、Web5を学んで未来に備えることも、どちらも私にとっては大切な活動だ。
年齢を理由に夢を諦める必要はない。むしろ、長い人生を生きてきたからこそ、新しいことに挑戦する価値がある。私にとってWeb5の学びは、未知の世界への扉であり、未来へとつながる希望の光である。

