
朝、畑に出ると、あの子たちが待っていました。
つややかな赤、丸みのある形、弾けそうな張り――
そう、今年も無事に中玉トマトが実ったのです。
種まきから始まったこの小さな物語。
農薬も化学肥料も使わず、有機の土にこだわって、毎日声をかけながら育ててきました。
風が強い日も、雨に打たれた日も、苗はぐっと踏ん張り、
そのたびに「強くなれ」と願いながら手をかけてきました。
ようやく今日、大きなボウルいっぱいの収穫。
手に取ると、まだほんのり温かい。まるで太陽のエネルギーをそのまま詰め込んだようです。
ひと口かじれば、皮はパリッと、果肉はジューシー。
甘さの中にほのかな酸味があり、スーパーのトマトとはまるで別物。
「これが自然の味か」と、口の中で小さな感動が広がります。
このトマトたちは、ただの野菜ではありません。
季節と向き合い、自分の手で育てた命の結晶。
だからこそ、食べる時も、誰かに渡す時も、「ありがとう」と言いたくなるのです。
次は、冷やしてサラダに。
オリーブオイルと塩だけで素材の味を楽しんでもよし、
煮詰めてソースにしてもよし。トマトはどんな姿にも変わってくれる名役者です。
家庭菜園は、たしかに手間もかかります。
けれどその分、心が豊かになります。
トマトの赤は、私の日々を元気にしてくれる魔法の色。
来年もまた、この色を見たくて、私は種をまくのだと思います。
